いろは坂を上がった奥日光の中禅寺湖周辺は、昔、懐かしい故郷の景色をもとめた海外の要人のお気に入りの地だったとか。

吉永小百合さんのCMにも登場した、湖畔に佇む英国大使館別荘記念公園（British embassy villa memorial park）は、その名の通りイギリス大使館の別荘（というよりは、夏のイギリス大使館と言うべきか）として使用されていた素敵な建物です。その2階にあるカフェで、本場英国のスコーンが食べられるという雑誌の記事を見かけ、つい行ってしまいました。

英国大使館別荘記念公園（British embassy villa memorial park）とは

英国大使館別荘記念公園（British embassy villa memorial park）は、元は明治29年（1896年）に英国の外交官で明治維新にも深く関わり、影響を与えたアーネスト・サトウの別荘として建てられたものです。現在の姿は、平成20年（2008年）まで使われていた英国大使館別荘に修復されたものだとか（結構最近まで使われていたのですね）。

黒い窓だらけの建物は湖を臨み、窓に向かって並べられた窓からは中禅寺湖の美しいすがたを眺めることができます。

古い大きめの英国風調度で飾られた室内も素敵ですが、国際的な避暑地として人気を博した当時の歴史や英国文化、アーネスト・サトウや植物学者のアーネスト・サトウの次男、武田久吉について紹介している1階の展示も興味深いものでした。

2階には、本場のスコーンが味わえる『英国文化交流室』と広縁があります。冬はガラス戸が閉じられているため普通の屋内に見えますが、風雨の無い気候の良い日には扉が開かれ白い手すりが顔を出し、中禅寺湖をより身近に感じることができるようです（初夏に来るべきだったか…）。

『英国文化交流室』でいただくクリームティーでカフェタイム

2階にあるティールーム『英国文化交流室』は18席ほどしかない小さなスペースです。重厚な木材の家具やソファで軽く仕切られているだけなので、狭い割には開放感がありゆったりお茶をいただけるスペースになっています。

こちらのカフェでいただくスコーンは英国大使館のコック長監修の英国の本格派。日光ステーションホテルクラッシックの総料理長が焼いています。プレーン、チーズ、季節のスコーンとあり、ポットティーとセットで1,500円（税抜）です。

3種類のスコーン、少し甘みのあるプレーンが一番の人気でした

この日は4人での訪問だったため、すべての種類をいただくことができました。

添えられているのはクロテッドクリームと季節で変わるジャムです。この日はニンジンのジャムでした。スコーンは水分を多めに感じる、ちょっと甘味の付いているもの。レーズンが入っているため甘さは結構しっかりと感じます。ジャムはニンジンの青っぽさはまったく感じない爽やかな甘味で、好評でした。

紅茶はヨークシャーティ、ダージリン、アールグレイ、ミルクティという、何か不自然なセレクション。ミルクティはアールグレイで冷たい牛乳（フレッシュミルク）がたっぷりと付いていたので、特に設定せず希望をきけば良いのでは…。どの紅茶も香りが良く美味しかったです。

チーズのスコーンをオーダーした知人は、お皿が目の前に来たとたん少しガッカリな表情でした。なぜならクロテッドクリームとジャムが付いてないから（笑）。恐らく数種類のチーズが一緒に焼かれているスコーンは香ばしく、とは言え塩味はあまり強くありません（「これでビールは飲めないね」…という、酒飲みな感想が）。「チーズは数種類を混ぜた方が絶対美味しい！」を再確認したスコーンでしたが、クロテッドクリームを付けないスコーンなんて…と、クロテッドクリーム好きはモヤモヤ（笑）

そして、季節のスコーンは秋らしく『やきいものスコーン』。なんとなく「薩摩芋が練りこんであるのかな？」と思っていたのですが、生地自体に焼き芋の味がするというよりは、角切りの薩摩芋が一緒に焼かれている風でした。あまり薩摩芋の味を感じることはできませんでした。

全員で全種類いただいて、総合的に高評価だったのは『プレーン』でした。でも、クロテッドクリームはもう少し欲しいかな（笑）

奥日光の自然と歴史、イギリスの文化を感じることのできる、素敵なカフェ＆休憩時間でした。